アフリカのコンゴ民主共和国という国で,正体不明の病気が流行しており,この病気によって1か月で,少なくとも27人の方々が死亡したと,今日午前中に,AFP通信が伝えていました。
コンゴという国は,人口約1億人の国ですが,飢餓状態にある人は2,500万人とも3,000万人とも4,000万人と言われており,人口の3人ないし4人に1人にあたります。
教育に関する問題も深刻で,10歳児の97%が,基本的な読み書きができない,あるいは学校に通うことができていないということです。
さらには,子どもへの徴兵や女性への組織的な性暴力など,極めて深刻な人権問題に関する問題も多発しています。
この国の諸問題を,たとえば,温暖化のような気象のせいに帰すのは間違いです。コンゴの危機の大きな原因の一つは,長期にわたって続く紛争にあります。
コンゴには反政府組織,民兵,自警団,さらには警察や国軍内で違法な行動をする一派など,130もの武装勢力が存在していると言われています。この武装勢力は資金源を,彼らが武力行使下で掘り出した鉱物(レアメタル)を,不法に取引したり密輸したりすることで得ています。彼らは,過去に先進国で生産された武器も手にしていると言われています。
したがって,コンゴの紛争は,私たちの暮らしと無関係ではありません。レアメタルは,私たちが毎日使っているパソコンやスマートフォンのために不可欠だからです。つまり,「私たち」が彼らの資金源であるレアメタルを買って使っているのです。。
いまの私たちにとって,パソコンやスマートフォンを使わない生活や仕事は考えづらいことは事実です。そんな私たちにできることはあるでしょうか。なかなか難しい問いですが,少なくとも私たちは,パソコンやスマートフォンの部品や素材が,どのようなルートやプロセスを経て私たちが手に入れたのかを考えていくことを始めなければならないでしょう。
武装勢力の関与が疑われるルートから調達されたレアメタルが使われている製品は断固として使わない,国内で不要になったレアメタルのリサイクルを徹底するなど,私たち自身の生活やビジネスの原理を変更すれば,紛争に苦しむコンゴの人々の生活を改善できる可能性があるのです。
フロジャク神父様は,生きることは愛することと仰っただけではなく,愛することは行うこと。かぎりない愛の実践をと仰ったということを心に留めましょう。
校長 大矢正則
※ 元原稿のため,実際の放送内容と一部異なります。