一昨日(2024/11/10)の朝日新聞は,連載「2030SDG‘sで変える」の特集記事に,第1面のほとんどと,第2面の全部を割いていました。大見出しには,「「助けて」言える、まちづくり」と,大きな文字で書かれていました。そして,最初の小見出しは,「強い自己責任論」というもの。記事を読むと,自己責任論というものが,弱者には何の利益ももたらさず,社会から取り残された人たちにどれだけ圧力を強いているのかが伝わってきます。
この記事は,主に,北九州市で,路上生活者,世間でホームレスと呼ばれている人たちに対する支援に取り組んでいるNPOの役員の方へのインタビューで構成されているのですが,インタビューに対する答の中に,「自己責任論が強くなりすぎて、助けてと言えない社会になっている。助けてと言えるまちをつくりたい」,そして「出会った人にどこまでできるかでやってきて、例えば路上からアパートに入った人は3750人を超えました。けれども、社会というバケツの底に穴が開いているので、いくら手厚く支援しても、次の人がまた落ちてきてしまうのです。大本の社会をつくり替えないと、問題は解決しないと気づきました。」という言葉を見つけました。
一方,このNPOの支援によって,ホームレス生活を脱し,アパートに入居できた人の「助けてと言えた時が助かった時だった」という言葉も掲載されてきました。
私は,物価高で格差が広がった,政治も経済も不安定な,先行きの見えない現代社会あるいはこれからの時代を生き抜くための力として必要な力の一番は,助けてもらう力だと思います。みなさん,困ったときや苦しいとき,どうにもならなくなったときは,誰かに助けを求めてください。そして,もし皆さんが誰かに助けを求められたら,自分にできることを考えて,させていただきなさい。助けられることも助けることも神様が望んでおられることです。助けることによっても助けられることによっても,人は神様と同じ心を分かち合うことができるのです。
校長:大矢正則