中学校・高等学校

昼の校内放送【貧困撲滅のための国際デー】

投稿日2024/10/17

 今日,10月17日は『貧困撲滅のための国際デー』です。
 『なぜ世界の半分が飢えるのか』という1980年代に国際的なベストセラーになった本があります。この本には,当時のアジア,アフリカ,中南米に集中している食糧危機や飢餓,貧困の原因は,異常気象や人口過剰や農業技術の遅れなどにあるのではなく,先進大国と農業関連多国籍企業の食糧戦略と不公正な社会制度にあるということが書かれていました。当時の日本は経済大国の世界第2位でもありましたから,大学生だった私には,それはまさに自分の問題であるように感じました。貧困の問題は格差の問題とも言えますが,その格差を作り出している側に自分が属していることを知ったわけです。
 あれから半世紀近く経ちましたが,貧困や格差の問題は,国際間格差と,国内間格差という二つの側面を持って,依然として世界中の人々を巻き込む問題のままです。
 貧困や格差の問題を考えるにあたっては,家が無い,着る服が無い,飲料水が手に入らない,必要な食べ物が手に入らないといった、主に開発途上の国々で見られる絶対的貧困の問題と,ギリギリ生きていくことはできるものの,その人の住んでいる国や地域の大多数の周りの人や世帯よりも貧しい状態を指す,いわゆる先進国の国内で起きている相対的貧困の問題の両方を見ていく必要があります。
 日本の子どもや若者の相対的貧困率は,高水準,つまり悪い状態が,すでに長年にわたって続いています。
 貧困は人から経験の機会を奪います。皆さんには,この東星での学園生活を通して様々な経験をしてほしいと思います。
 世界史上最大の芸術家とも称されるレオナルド・ダ・ビンチは「知恵は経験の娘である」という名言を残しています。経験こそが知恵を生み出すということですね。
 世界中の人々によい経験の機会が与えられ,この地球上が愛と知恵に満たされますよう,世界中から貧困を撲滅させるために祈り,働きましょう。

校長:大矢正則

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