中学校・高等学校

第59回東星学園高等学校 式辞【校長】

投稿日2026/3/2

卒業式の冒頭ではありますが、平和を求めるカトリック学校東星学園高等学校の、そしてベトレヘムの園にある東星学園の卒業式だからこそ、一昨日始まった戦争について触れないわけにはいきません。特に、生徒が集まる日中に学校が攻撃され、生徒たちや先生方の命が奪われたことに対し、同じく学校で働くものとして、怒りと悲しみを覚えます。米国によるイランへの軍事行動の即時停止を求めます。

さて、59期の皆さん、ご卒業おめでとうございます。保護者の皆さま、本日は誠におめでとうございます。また、ご来賓の皆様、本日はご多用の中、第59回東星学園高等学校の卒業式にご列席を賜り、誠にありがとうございます。

卒業生の皆さん。私は卒業を前に、皆さん一人ひとりと面接をしました。そこで語られた皆さんの言葉の中には、喜びだけでなく、悩み、迷い、葛藤もありました。

東星学園での学園生活の中で、印象に残った出来事には、合唱祭、ヨゼフ祭の英語劇シンデレラと高2のときの劇アリス。バザー、学習旅行、カナダやオーストラリアへの短期留学、上智大学主催のタイ・スタディツアーなどがありました。
また、皆さんが中学1年生だったころは、コロナの影響下、中学校の入学式が6月に実施されました。オンライン授業やオンライン朝礼なども行われていました。

合唱祭。特に高3の合唱祭では、絶対に最優秀賞を取りたいという思いで、学年が団結し、懸命に練習しましたね。誰かを支えたり、誰かに支えられたりしたこと。一人ひとりの違いに気づき、関わり方を変えたり、また、自分自身を相対化し見つめたりもしました。東星での学園生活は、常に誰かと共に生きることを学んだ時間でした。神様は、人との出会いを通して、あなたがたをここまで導いてくださった。私はそのように思います。

最もお世話になった人はどなたですか、という質問もしました。東星の先生の名前も聞かれました。合唱団や中1の頃にお世話になったウェケ先生の名前も出てきました。そして、多くの人が、お母さん、両親、親と答えてくれました。毎朝起こしてくれたこと。食事を作り続けてくれたこと。相談を聞いてくれたこと、信じて応援してくれたこと。叱ってくれたこと。病気のときに寄り添い続けてくれたこと。それはいっけん特別な出来事ではないかもしれませんが、これこそが、日々の中に置かれた愛でした。大切にされる経験でした。

皆さんは、祈られ、守られ、愛されて、ときには犠牲になっていただきながら、今日ここに立っています。

どうか、そのことを忘れないでください。皆さんは、自分が迷惑をかけた出来事も正直に語ってくれました。親に反抗したこと、悩ませたこと、言えなかった思い。言葉以外の表現を用いてしまったことを悔いている人もいました。それでも、今日ここに立っているのは、それは、誰かが赦し、待ち、信じ続けてくれたからです。赦しとは、過去を消すことではありません。失敗や傷の上に、再び新しいいのちをいただく恵みです。謙虚さという徳をいただく恵みの機会でもあります。

また、皆さんは、親御さんのために、料理を作ったこと、家事を手伝ったこと、手紙を書いたこと、受験を頑張ったことなども話してくれました。小さなことに見えても、それは愛への応答です。これからも愛に対して敏感に応答できる人でいてください。

東星学園とは自分にとって何だったのか。どう表現できるのか。皆さんは、面接でこう表現しました。
愛。家族。居場所。安心できる場所。成長できた場所。共に生きる場所。中には、3歳から今日まで、人生の大半をここにいるので、ここでの生活がないということが考えられないという人もいました。

しかし、紛れもなく、あなた方の東星での学園生活は今日で終わりです。明日からはもう、ここは、帰ってこられる場所ではあっても、毎日通って来られる場所ではなくなります。あなた方には、4月からは、新たな居場所を見つけることが求められます。

そんな新たなステップに向かって旅立つ皆さんに、伝えたいこと。それは、「あなたは大切な人です」というメッセージです。あなたは大切な人です。なぜなら、あなたがあなただから。

神様があなたをこの世に送り出しました。しかも自由な存在として。その神様は、いつでもあなたの名を呼び、一緒にいてくださっている。あなたが神様と一緒にいたくないと思っても、神様はあなたと一緒にいたがる方。いてくださる方。そして、あなたは、神様が一緒にいたがるほど大切な存在です。

ところで、もしかしたら、これから先、希望が見えなくなる日が来るかもしれません。
そのとき思い出してください。
未来のあなたが、あなたに喜びを伝えるために、あなたの歩む道の先に立っています。

未来のあなたに、必ず会いに行ってください。
未来のあなたは、あなたが来ることだけを待っています。

一つ聖書の言葉を贈ります。

「わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている、と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである。」(エレミヤ書 29章11節)

神様が将来と希望を与えると仰っているその計画が、私たちには見えないかもしれない。しかし、見えないからこそ、希望なのであって、見えないからこそ信じる恵みが与えられる。見えるものについては、そこにあるということを事実として認識するだけのことであり、それなら人間ではなくても、他の動物や、あるいはテクノロジー(科学技術)を使えばできることです。人間にしかできないことは、見えない希望を、生きているという文脈の中で、真実を読解すること。この真実を読解する能力こそ、つまり、論理やアルゴリズムを超えて、委ね、手放し、明け渡すことができること。これこそが人間に与えられた恵みであり、神様の憐れみの顕れです。

私が、このように考えることができるようになったのは、実は皆さん方に出会えたからです。皆さんからいただいてきた親しみのある笑顔と言葉で、私はいつでも助けられてきました。

式辞であるにも関わらず私ごとになってすみません。私は東星学園に15年間います。その始まりは、皆さんが幼稚園や保育園に入園した年、皆さんが3歳のころでした。ですから、皆さん方の中には、東星学園幼稚園入園の日から、知っている方もおられます。
立派に成長しましたねえ。私は、髪の毛も真っ白になり、こんなおじいさんになってしまいました。

卒業生の皆さん。
あなたは大切な人です。
未来のあなたが、あなたを待っています。

みなさん、保護者のみなさん、ここにおられるすべてのみなさん、どうぞお元気で。
59期のみなさん。卒業おめでとう。

2026年3月2日 東星学園高等学校 校長 大矢正則
※ 元原稿のため実際の式辞とは一部異なる点があります。

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