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キリスト教学校合同フェア(3月20日 於:青山学院中等部) 校長5分間スピーチ

投稿日2024/3/21

 皆様、こんにちは。カトリック学校・東星学園の大矢です。よろしくお願いします。
 今日は5分間という短い時間でございますから、キリスト教学校の存在理由とは何かについて一緒に考えていきたいと思います。
キリスト教ミッションスクールですが、日本国内には、カトリックの小中高等学校が216校、プロテスタントの小中高等学校が191校もあります。なぜ、キリスト教国でもなく、キリスト教信者の数もわずか1%と言われているこの日本にこんなに多くのミッションスクールが存在するのか。それには理由があります。
 その理由ですが、ミッションスクールはキリスト教信者を教育するという使命があるからでしょうか。これは明らかに違います。ミッションスクールの募集人数が、受験年齢のクリスチャン年齢に比して、著しく多いことを見れば、一目瞭然です。
 では、ミッションスクールはキリスト教信者を増やすための学校なのか。これも違います。もし、それがミッションスクールの存在理由であったのなら、日本のミッションスクールは大失敗だったということになります。キリスト教信者の数は減少の一途を辿っているからです。しかし、ミッションスクールの存在理由はそんなことではありませんでした。
 すなわち、ミッションスクールはキリスト教信者を教育する学校でも、信者を増やす学校でもないのです。
 では、なぜ、これほど多くのミッションスクールが存在しているのか。
 それは、ミッションスクールにはどうしても、皆様にお知らせしたいことがあるからなのです。そのお知らせしたいこととは、『福音』というものです。『福音』とは、何か教えのようなものではありません。『福音』とは、よき便り、よいお知らせ、つまりグッドニュースなのです。これをお知らせしたいのです。
 それは、どんなよいお知らせかというと、こんなお知らせです。それは、「あなたは大切な人である」ということなのです。「あなたは大切にされる価値がある」、「あなたは、あなたであるから大切」ということなのです。
 
 皆さん、子育てのご経験がある方が、今日は集まっておられるので、お子さんが、0歳、1歳の頃、自分の高さまでお子さんを抱き上げて、顔を見て、「いい子だ、いい子だ」とほほ笑んだ経験がおありでしょう。首が座ってくると、「高い、高~い」と言って抱き上げた。「いい子だ、いい子だ」と。(会場内の子どもの方を見て)「皆さん、そんな風に育てていただいたのですよ!」
 しかし、その頃のお子さんは本当にいい子でしたか? おむつを替えてほしいと泣くだけ、ミルクがほしいと泣くだけ、抱っこしてほしいと泣くだけ。本当にいい子でしたか?
 やっぱり、いい子でしたよね!
 そうなんです。いい子なんです。

 つまり、何かができるから、いい子なのではないのです。いるだけでいい子なのです。その子が、その子だから、いい子なのです。他の誰かであったなら、そこまで「いるだけで愛おしい」とは思えません。わが子だから、いい子なのです。他の誰かではダメなんです。この子でなければならない。このことを、人はかけがえがない存在であると言います。
 すべての人の親である神様は、一人ひとりの、「あなたに」、「あなたに」、「あなたに」、いるだけで愛おしいと思ってくださっているのです。「あなたが、あなただから大切」とはこういうことなのです。
 
 ミッションスクールはこのことを、個々を大切にする教育を通して、児童生徒に伝えていきたい。いや、どうしても伝えたい。そして、いま、私はここにいる皆さんにお伝えします。「あなたは大切な人です。なぜなら、それはあなただからです」。

 わたしのお伝えしたかったことは、以上となります。ありがとうございました。

(東星学園小学校・中学校・高等学校 校長 大矢正則)

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