アメリカのピュー・リサーチセンターという研究所は、「自力で生活できない人を政府は助けてあげる必要はない」という質問を、世界の約50の国の人々に行なった調査結果を、2007年に公表しました。その結果が興味深いので紹介します。少し古いデータなのですが、これ以上新しいデータが見つからなかったので、このデータを使います。
Yes、つまり「自力で生活できない人を政府は助ける必要なない」と答えた割合は、アメリカで28%でした。つまり、アメリカ人は、自力で生活できないことは自己責任だと考えている人が4人に1人以上の割合でいるということです。この質問に対して、Yesと答えた割合が最も低かった国はブルガリアで、わずか1%でした。次いで、モロッコが2%、スペインが3%という結果です。さらに6%で並んでいるのが、クウェート、バングラディッシュ、インドネシア、マレーシアといった中東やアジアの国々です。
冒頭で申し上げたように、この調査は、アメリカ、ヨーロッパ、中東、アジア、アフリカの約50カ国を対象に実施されたのですが、Yesという答えの割合が30%を超えた国はわずか3カ国でした。エジプトとヨルダンが32%で同率の3位、2位です。そして、トップは38%の人がYes、つまり「自力で生活できない人を政府は助けてあげる必要はない」と考えている人が4割に迫る国でした。その国は日本です。
自助・共助・公助という言葉が一時期はやり言葉のようになっていましたが、残念ながら日本は、自助を求め、公助に多くを求めないようにと考える国であるようです。これは世界的に見たら、際立っているということを、このデータは示しています。
自力で生活できない人を切り捨ててしまってよいのか、考えてみる必要がありますね。
校長 大矢正則