【校長講話】
「花が咲こうが咲くまいが生きてる事が花なんだ」。
この言葉は,10月1日にお亡くなりになったアントニオ猪木さんの言葉です。私は猪木さんが大好きで,この言葉も大好きです。
さて,私たち人間は,成功か失敗かを目指すのならば,間違いなく成功を目指します。また,私も教師として,というよりも一人の人間として,あなた方一人一人に対して,失敗することより成功することを祈っています。
ところで,「失敗」に関する名言をたくさん残した人に発明家のトーマス・エジソンがいます。エジソンの発明はいろいろありますが,発熱電球などが有名でしょう。今は,LEDに取って代わられていますが,今でも,いかに発熱電球に似たLEDを作り出すかなどという商品開発も行われています。
そのエジソンの「失敗」に関する名言をいくつか紹介していきます。
まずは,「私は失敗したことがない。ただ一万通りのうまく行かない方法を見つけただけだ。」というものです。つまり,これは「失敗」をうまくいかないことの「発見」とみているのです。私たちの毎日は失敗の連続です。失敗を繰り返すと,ついつい落ち込みがちです。しかし,その一つ一つの失敗も,一つ一つの発見だとみるわけです。こういうと,同じ失敗を繰り返したのなら,2度目の失敗からは新しい発見にはならないではないかという人がいるかもしれません。しかし,実は同じ失敗というのは存在しないのです。同じような失敗が繰り返されても,それは少なくともそれが起こった時間は異なります。その点において,その同じような失敗は,前の失敗とは異なっています。したがって,その点で,その失敗はやはり新しい発見といってもよいのです。そして,そのような失敗の繰り返しこそ,成功へとその人を導くのです。実際,エジソンは,次のような言葉も残しています。
「人生に失敗した人の多くは、諦めた時に自分がどれほど成功に近づいていたか気づかなかった人達だ。」
ところで,皆さん,新学期ですから勉強のことにも触れておきましょう。勉強もまた失敗の繰り返しによって,自らにとって必要な勉強時間や勉強方法が見出されていきます。ただし,そのときも「失敗」を単なる失敗ととらえず,うまくいかなかったときの「発見」とみなして,十分にその成果,つまり,失敗の成果について検討してみる必要があります。これもエジソンの名言ですが,「失敗したわけではない。それを誤りだと言ってはいけない。勉強したのだと言いたまえ」。この意味は,失敗から学んだ者にとっては,真実であることがわかりすぎるくらいわかることでしょう。
さて,ここまで考えてくると,失敗も成功もある意味で同レベルの出来事であることが見えてくると思います。大事なのは,失敗しても成功しても,驕らずに,つまり驕り高まらずに,謙虚に自分に与えられた道に,大きく言えば人生に「イエス」,つまり「はい」と応えていくことだろうと思います。
失敗するには体験が大切です。後期はたくさんの行事があります。あなた方が,それらの行事において,多くの体験を通して,失敗を重ねることを願っています。それは,もちろん,あなた方の真の成功を願っているからです。最後に,もう一度,最初に引用したアントニオ猪木さんの残した言葉を引いて,始業式の私の話を締めくくります。今日の話と相通ずるものがあると思えるからです。
「花が咲こうが咲くまいが生きてる事が花なんだ」。
校長 大矢正則