東星学園高等学校第52期生の卒業に当たり、ご来賓の方々をはじめ多数の皆様のご列席を賜り、このように卒業式を挙行できますことを、厚くお礼申し上げます。ありがとうございます。
高3生の皆さん、卒業おめでとう。
「虹。みんな違う色だけれども一つになって輝いている」
「救う。みんなに救われてきた。先生方にも救われてきた」
「見捨てないでくれた初めての場所」
「太陽。みんなが照らしてくれるから成長できた」
「自分が自分らしくいられる場所」
「自分が自分でいられる場所」
「自分の家よりも自分を出している」
「夢のような時間」。
これらは、卒業面接で、「東星を単語や短い文章で表すとどう表現できますか」という私からの質問に対する皆さん方の答の中から、そのままいくつかを紹介したものです。
「虹」という答えに象徴的に表されているように、本当に皆さんは個性的な人たちの集まりでした。それでも、お互いにその個性を尊重し合い、救い合い、照らし合って、3年間、あるいは6年間、長い人は小学校・幼稚園から、12年間、15年間一緒に過ごしてきました。いま考えると、それは、まさに「夢のような時間」だったのかもしれません。
しかし、この夢の途中ではいろいろなことがありました。人とのトラブル。仲間に入れない悲しみ。自分ではどうしようもできない、あるいは、人間の力ではどうにもならない、諦めなければならないような出来事や日々。喜びや楽しみがそうであるように、あなた方40人には40通りの悲しみ、苦しみ、怒りがありました。それらを私は卒業面接でうかがい、学校というものの無力さを痛感し、それでも、この学校に通い続けた皆さんに心から感謝したいと思います。
「やり通す力」
「諦めないこと」
「人の前に立って表現することが苦手だったけれども、でるようになったこと」
「合唱祭で伴奏をできたこと」
「部活を通して忍耐力、集中力、リーダーシップが身についたこと」
「企画委員をやってみて、他の人がどう考えていて、どういうことをしているのかをわかるようになったこと」
「行事を通して人のことを一点だけで評価せずに寛容に関われるようになったこと」
「周りを見られるようになったこと」
「人に頼っていいのだということを知ったこと」
「助けてくれる人がいることに気づいたこと」。
これらは、同じく卒業面接での、「あなたがここ東星学園で成長できたことはどういうことですか」という質問に対するあなた方の答です。他にも各々の成長を各自で挙げてくれました。
皆さんが答えてくださった、やり抜くこと。諦めないこと。表現力。忍耐力。リーダーシップ。他者への寛容。そして人を信頼する力は、東星を卒業後、別の社会に入っていった後も忘れてほしくない大切な力です。
特に、人に信頼を寄せ、助け、また、助けてもらうことは、これからの複雑な社会を生きぬいていくためには、とても大切な力です。どうか、皆さんはこれからも、人に恵まれた人でいてほしいと思います。それは周囲によって左右される面もあるかもしれませんが、まずは、自分が、ここ東星でしてきたように、周りの人を、特に苦戦している人を助ける人であってください。それが、創立者フロジャク神父様のご遺志であり、東星の卒業生の隠れた勲章だと私は思っています。そして、皆さんは、その勲章を、いつのまにか、この学年の中で、みんなでお互いに授け合ったのです。
私には、そして、先生たちには、今日、その勲章がはっきり見えます。
「いい学年だった」。
これもまた、皆さんから出てきた言葉です。「東星に残しておきたい言葉は何ですか」という私からの問いに対して、皆さんの中の一人が、ポツンと呟いた言葉です。
個性派揃いの学年だった。それでも、いや、それだからこそ、私は、あなた方に、あなた方の真似をして言いたい。
「いい学年だった!」
「親に感謝しろ」。
実はこれも卒業面接で、ここにいる卒業生の一人が答えた言葉です。「後輩に伝えたいこと」という質問に対する答です。この生徒は、おそらく自分の親に深く感謝しているのだと思います。保護者の皆様に感謝の言葉を言えない生徒もいると思います。ですから、私が代わって皆様に、そして神様に申し上げたいと思います。高校まで卒業させて下さってありがとうございました。
また、東星学園の教職員を代表して皆様にお礼とお祝いを申し上げます。お子様のご卒業、誠におめでとうございます。皆様の温かいご支援とご理解があったからこそ、今日の卒業式を迎えることができました。そして皆様も東星の保護者をご卒業なさいます。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
これをもちまして、私の式辞といたします。
2019年3月1日 東星学園高等学校 校長 大矢正則